特殊塗料

※セラック

セラックは、東南アジアやアフリカなどに生息するラック虫(貝殻虫の一種)の分泌物から作られる天然塗料です。

ラック虫は樹液を吸って生きているため、その分泌物には樹液が豊富に含まれています。セラックはそれを精製して結晶化させたもので、それを無水エタノール(純度99.5%以上のアルコール)に溶かしてニスとして使用します。

セラックは食品添加物としても使用されており、安全無害とされています。

ギターやヴァイオリンなどのハイグレードなものには、今でも「フレンチポリッシュ」という特殊技法を用いたセラック塗装が施されています。

いわゆるラッカーニスは、セラックに似せて化学的に合成した代用品です。

セラックの塗布面はウレタンニスなどのように肉厚にならずに堅ろう性を発揮しますが、唯一アルコールに溶解するため、テーブル天板などに使用する場合は、最後にウレタンニスなどでトップコートします。


※柿渋

柿渋は、渋柿の実を圧搾濾過し長時間発酵熟成させて作る日本古来の天然塗料です。材料に浸透後、内部でさらに発酵が進み、防虫、防腐、防水、耐朽効果が発揮されるため、古くから水桶、米櫃、卓袱台、茶箪笥、和傘などに使用され、またその独特の色調から、和紙や布の染料としても使用されてきました。石油系の塗料では出せないその独特の色合いや光沢は、年月を経るごとに深みを増していきます。


※弁柄

神社の鳥居の朱色でお馴染みの弁柄(べんがら)は、古くから使われてきた粉末顔料で、あの独特の色の素は酸化鉄。弁柄自体では定着力がないため、柿渋やあまに油などに混ぜて使用されます。